kokoro_blogの日記

心が疲れたときに読んでほしい話

幼少期-母を探しに-

こんばんは。

今日もお会いできて嬉しいです。

 

前回の続きをどうぞ(^^)












「…おかあさーん」


街灯も少ない田舎です。

近所迷惑にならないように

母を探します。


その時手を引いて歩いた弟は、

泣いていたのか

黙ったままだったか記憶にありません。


冬の寒空の下、なぜ弟を連れて出てこなくてはならなかったのか…


本能的に"今は父に任せていてはいけない。

私が守らなきゃ"そう感じていました。




母が行きそうなところってどこだろう?


手当たり次第に探してもダメだ。

考えなきゃ。





少ない脳みそと知識と経験を元に

必死で考えました。


「あっ!おばあちゃんちかも!(母の親)」


プルルルル…、もしもし?

おばあちゃん?

そこにお母さんいる?

…え?いないんだ。

わかった、ありがとう。



おばあちゃんの家にいないとなると…



そういえばお母さん、海が好きだ。

でも冬だし寒いしいないかな…


…いや!確認だけしよう!



家から海までは

子供の足で歩いて10分ほど。


真っ暗な町中を弟と二人で歩いたことなどありません。

ものすごく怖かった記憶があります。



ザザー…

ザザー…


波の音と、砂浜を歩く私達兄弟のきゅっきゅっという音だけが響いていました。


すると、波打ち際に人影が。


「…!おかあさん!」

『お母さん、家に帰ろう?』


私達の声で振り返る人影。


【こっちに来ないで!

             帰って!

     帰ってよ!!!】







顔は見えませんでしたが、

母の声でした。


いっしょに帰れると思っていた私は

ショックと衝撃をうけました。





「おかあさん…」


泣きそうになっている弟を見て冷静になりました。


『お母さん今ね、少し一人になりたいんだって!先に帰ってあったいうちで待ってよう!』


唇を噛み締め、平然を装う私。

そして、姉の笑顔に安心した弟の足取りは軽くなっていました。


弟の手を握り、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を隠してくれたのは、皮肉にも街灯の無い暗い町中でした。





電気をつけたまま出てきた家が見えてきました。